表裏・寒熱・虚実・陰陽
- 瑠璃鍼灸院

- 2022年10月14日
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八綱病症では「陰陽、表裏、寒熱、虚実」があるとお伝えしました。
その中で「外邪が体内に入り、どこで悪さをしているのか」を表すものが病位といい「表裏」であらわされます。
「表」は身体の最も浅いところ、皮膚や皮下表層、また頭部や四肢、肩背部(体幹を人体の最も深い部分とみた場合そこより離れた部分)も「表」と表します。
病が「表」にある場合は病気の初期症状が多く悪寒や発熱、頭痛、関節痛などの症状がみられることが多いです。
「裏」は表よりも体の深いところを指します。骨、内臓などです。
ここに病がある場合は病気になってからしばらくすると現れる、悪熱や腹痛などがみられます。
「半表半裏」は文字通り表と裏の中間を指します。骨と皮下表層の中間であったり内臓だと特に肝胆胃のあたりを指すようです。
症状は東医特有の言い回しで「往来寒熱」(悪寒と発熱が交互に現れる)「胸脇苦満」(季肋部付近を押すと圧痛や充満感があり指が入らない)などの症状がみられるようになります。
痛みや症状のある部位で慢性化であったり難治であったりを予測するのはユニークな方法であるといえますね。
寒熱
病状は寒熱であらわされ体内の気の偏りで生じます。
寒も熱もその字の通りといえばそうなのですが一応解説です。
寒:冷える感じや冷たい感じの状態を指します。
悪寒や手足の冷え。唇や舌が白っぽくなることが多いです。
熱:熱感や暑い感じの状態を指します。
発熱や乾燥、顔のほてり。口が乾いたような感じになり舌も黄色っぽくなることが多いです。
虚実
これは病の勢いを表すもので邪気と正気の争いの状況が見えてきます。
またこれにはもともとの体質も関係してきます。
虚:これは『正気の不足』を意味しています。「6:4」で邪気の方が優勢といった感じです。
虚では激しい病状は現れません。病気の後期や慢性病といった場合にみられます。
症状としては「呼吸や語勢が弱い、筋肉に弾力性がない、痛い場所を揉まれると気持ちいい」
脈は総じて弱く深い場所に感じられます。
実:これは『邪気の亢進』を意味しています。「5:5」の僅差で邪気と正気がバチバチにやりあっているところです。なので症状としても比較的激しい症状がみられます。
病気に罹り始めから最盛期まで。
症状としては「呼吸や語勢が荒く強い、筋骨ががっしりしている、痛い場所を揉まれると痛みが増す」
脈は総じて強く浅いところで感じられます。
陰陽
表裏・寒熱・虚実を総合したものが陰陽です。
すべての疾病を陰陽の2方面から鑑別してみることができます。
陰:生体反応が沈滞、減弱している病状で「裏・寒・虚」の属性があるものを統括して「陰証」と呼びます。
陽:生体反応が発揚・増強している病状で「表・熱・実」の属性があるものを統括して「陽証」と呼びます
以上が鍼灸における東洋医学的な所見をとる際に基本となるものです。
これらを確認するために医療面接や、脈・腹・舌診を行い証立てを行い治療に移るといった手順になります。
「脈見たり舌を見て何をしているのか?」といった疑問はこのためであったとご理解いただければ幸いです。




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