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鍼灸は「腰痛・坐骨神経痛の有力な選択肢」になりつつある

  • 執筆者の写真: 瑠璃鍼灸院
    瑠璃鍼灸院
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

腰痛は世界中で最も多い身体の不調の一つで、日本でも国民の約8割が一生に一度は経験すると言われています。その中で鍼灸は、古くから使われてきた治療法ですが、近年はランダム化比較試験(RCT)やメタアナリシス(複数の研究をまとめた解析)が積み重なり、国際的にも「一定の効果が認められる非薬物療法」として注目されています。

特に慢性腰痛(3ヶ月以上続くもの)と慢性坐骨神経痛(特に椎間板ヘルニアが原因の場合)で、エビデンスが強まっています。

慢性非特異的腰痛(原因がはっきりしない一般的な腰痛)に対する効果

多くのメタアナリシスで、鍼治療は無治療通常ケアに比べて痛みの強さ(VASスコア)日常生活の機能(ODIやRDQなどの障害指数)を有意に改善することが示されています。

•  米国内科学会(ACP)のガイドライン(2017年更新)では、慢性腰痛の初回非薬物療法として鍼治療を推奨(中等度エビデンス)。

•  WHOの慢性腰痛ガイドライン(2023年)でも、鍼を含むドライニードルや手技療法が選択肢として挙げられています。

•  最近の研究(2025年頃のRCT)でも、高齢者の慢性腰痛で鍼が痛みと身体機能を改善し、通常ケアより優位だった報告があります。

偽鍼(シャム鍼:浅い刺入や非経穴)との比較では差が小さくなる研究もありますが、本物の鍼の方が統計的に有意な優位性を示す傾向が続いています。つまり、プラセボ効果+生理的な効果の両方が働いていると考えられています。

坐骨神経痛(特に椎間板ヘルニアによる慢性坐骨神経痛)に対する効果

坐骨神経痛は腰痛の中でも下肢への放散痛・しびれが特徴で、慢性化しやすいタイプです。ここでも近年、質の高いエビデンスが増えています。

•  2024年にJAMA Internal Medicineに掲載された多施設RCT(中国、216例):椎間板ヘルニアによる慢性坐骨神経痛に対し、4週間(10回程度)の本物の鍼治療で下肢痛(VAS)が約30.8mm減少(偽鍼は14.9mm減少)、機能障害(ODI)は13.0ポイント改善(偽鍼は4.9ポイント)。この効果は52週間(約1年)後まで持続したという結果です。

•  複数のメタアナリシス(2023〜2026年頃のもの)では、鍼治療が痛み強度を有意に低下させ、総有効率が高い(RR=1.20〜1.25程度)こと、再発率が低いこと、副作用が少ない(RR=0.38程度)ことが報告されています。

•  別の系統的レビューでも、鍼がNSAIDsなどの薬物療法より優位または同等で、安全性が高い傾向が示されています。

これらの結果から、慢性坐骨神経痛(特にヘルニア由来)に対しては、鍼が偽鍼より明確に優位で、臨床的に意味のある改善をもたらす可能性が高いと言えます。

急性腰痛や急性坐骨神経痛ではどうか?

急性期(数日〜数週間)のエビデンスは慢性ほど強くなく、中等度〜低めです。

炎症や筋緊張の緩和で早期の痛み軽減に役立つケースはありますが、自然経過で改善しやすいため、鍼の追加効果が目立ちにくいという指摘もあります。

なぜ効果が出るのか? 主なメカニズム(現在の理解)

鍼の効果は単なる「気」の話ではなく、神経生理学的な変化で説明されています。

1.  局所の血流改善・筋緊張の緩和:鍼刺激で血管拡張 → 酸素・栄養供給↑、老廃物排出促進。梨状筋や腰部深層筋のこわばりがほぐれ、神経圧迫が軽減。

2.  中枢性の鎮痛:エンドルフィン・エンケファリンなどの天然オピオイド分泌促進、痛み信号の抑制(ゲートコントロール理論)。

3.  脳の疼痛処理変化:fMRI研究で、島皮質や前帯状回などの領域に変化が確認。

4.  自律神経の調整:交感神経過緊張を抑え、リラックス状態へ導く。

これらはプラセボだけでは説明しきれない部分です。

限界と現実的な注意点

•  すべての人に劇的に効くわけではない:非特異的筋・筋膜性腰痛や軽〜中等度の神経圧迫に特に相性が良い。重度の椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症の進行例、腫瘍・感染などの器質的疾患が強い場合は補助的な位置づけ。

•  持続性:短期〜中期(数ヶ月)は良い効果が出やすいが、長期維持には定期施術+運動療法の併用が重要。

•  偽鍼との差:一部の研究で偽鍼でも効果が出るため、期待・リラクゼーション効果の寄与が大きいという見方もある。

•  安全性:副作用は非常に稀(軽い内出血、一時的な痛み程度)。使い捨て鍼を使い、国家資格保有の鍼灸師に受ける限り、感染リスクはほぼゼロ。

実際の使いどころとおすすめの流れ

日本整形外科学会・腰痛学会のガイドライン(2019改訂第2版)では、鍼灸は保存療法の選択肢として記載されています(運動療法や薬物療法がメイン推奨)。

海外(米国・欧州)では慢性腰痛・坐骨神経痛の第一選択非薬物療法に鍼を入れるガイドラインも増えています。

おすすめの進め方:

1.  まず整形外科で原因鑑別(レントゲン・MRIなど)。

2.  薬・ブロック注射・リハビリで改善しにくい場合に鍼灸を試す

3.  週2〜3回×4〜6週間を目安に効果判定、その後メンテナンスへ。

鍼灸は「魔法の治療」ではなく、体に優しく、薬に頼りたくない人にとって有力な選択肢の一つです。


気になった方は、一度ご相談ください!

 
 
 

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